# と ♭ の使い分け:コード譜はシャープとフラットどちらで書く?
ピアノでは C# と Db は同じ黒鍵です。それでもコード譜では、どちらかの書き方のほうが読みやすいのがふつうです。その選び方を説明します。
同じ音に 2 つの名前
1 オクターブには 12 の音がありますが、音名のアルファベットは A〜G の 7 つしかありません。そのため、間にある 5 つの音には C#/Db、D#/Eb、F#/Gb、G#/Ab、A#/Bb と 2 つずつ名前があります。同じ高さの音の別名を異名同音(エンハーモニック)といいます。
ギターでもキーボードでも弾き方は同じなので、どちらも「間違い」ではありません。ただ、キーに合った書き方をすると譜面が読みやすくなり、コード同士の関係もわかりやすくなります。
テキストのコード譜では、シャープ(♯)を #、フラット(♭)を小文字の b で書くのが一般的です。Chord Transposer はどちらの書き方も読み取り、# と b で出力します。
基本はキーに合わせる
メジャースケールでは、A〜G の各アルファベットを 1 回ずつ使います。キー F の音階は F・G・A・Bb・C・D・E です。A# と書くと A を 2 回使って B を飛ばすことになるので、キー F の IV のコードは A# ではなく Bb と書きます。
F Bb C7 FF A# C7 Fつまり、シャープ系のキーなら黒鍵のコードは # で、フラット系のキーなら b で書きます。
シャープ系のキーとフラット系のキー
それぞれのキー(とその平行調)は、シャープかフラットのどちらか一方だけを使います。
| 調号の数 | シャープ系(メジャー / マイナー) | フラット系(メジャー / マイナー) |
|---|---|---|
| 0 | C / Am | |
| 1 | G / Em | F / Dm |
| 2 | D / Bm | Bb / Gm |
| 3 | A / F#m | Eb / Cm |
| 4 | E / C#m | Ab / Fm |
| 5 | B / G#m | Db / Bbm |
| 6 | F# / D#m | Gb / Ebm |
| 7 | C# / A#m | Cb / Abm |
調号が 6 つと 7 つのキーには同じ音の別名があります(F# = Gb、C# = Db、Cb = B)。コード譜では F#(または Gb)、Db、B がよく使われます。
覚え方:F と、名前に b が付くキーがフラット系です。C 以外の残りのキーはシャープ系です。
キーの外のコード
曲にはキーの外のコードもよく出てきます。よく使われる書き方の習慣は次のとおりです。
- 同主調(マイナー)からの借用和音はフラットで書きます。キー C なら、C マイナーから借りるコードは A#・G#・D# ではなく
Bb・Ab・Eb・Fmです。 - 上がっていく進行はシャープで書くことが多いです:
C C#dim Dm - 下がっていく進行はフラットで書くことが多いです:
D Db C、ベースラインならC C/B C/Bb F/A
迷ったら、アルファベットが順番に動いて見える書き方を選びましょう。
Chord Transposer の #/♭ 設定
アプリには、移調したコードの書き方を決める 3 つの選択肢があります。
| 設定 | F Bb C7 Dm を +3 した結果 | ルール |
|---|---|---|
| オリジナル | G# Db D#7 Fm | 元の書き方に合わせます。b で書かれたコードは b のまま(Bb → Db)、# も b もないコードは # になります(F → G#)。 |
| # を優先 | G# C# D#7 Fm | いつも # で書きます。 |
| b を優先 | Ab Db Eb7 Fm | いつも b で書きます。 |
この例はキー F からキー Ab(フラット系)への移調なので、「b を優先」が適切な書き方になります。
選び方:移調先のキーをシャープ系・フラット系のキーの表で探します。フラット系なら「b を優先」、シャープ系なら「# を優先」を選びます。そのあと、キーの外のコードを確認して、必要なら手で直してください。
移調が 0 のときは、「# を優先」「b を優先」は # や b の付いたコードだけを書き換えます。# と b が混ざったコード譜をそろえるのに使えます(例:Db → C#)。
関連記事:キー別のコード表では、すべてのコードを各キーの音階に合わせて表記しています。