半音ずつ上がる発声練習の音階と、音域の決め方
ボイストレーニングや合唱の練習では、短い練習を歌ったあと、半音上げてもう一度、さらにもう一度…と少しずつ高さを変えて繰り返すことがよくあります。この記事では、その仕組みと、自分の声に合わせた始める音・終える音の決め方を説明します。
動くのはキー、パターンは同じ
ドレミファソファミレドのような練習を 1 つのキーで歌い終えると、伴奏者が半音高い和音を弾き、新しいキーでもう一度歌います。練習の形は変わらず、始まりの音だけが変わります。ソファミレドのように下がる練習も、同じように半音ずつ下げていきます。
半音ずつ上げる理由
- 少しずつ近づける。1 回ごとに少しだけ高くなるので、音域の上(または下)の端に少しずつ近づき、どこから難しくなるかに気づけます。
- 無理をする前にやめられる。苦しいと感じたら、すぐに止めたり、1 キー戻ったりできます。
- 声そのものに集中できる。パターンが同じなので、音を覚える必要がなく、声の響き・息・母音に耳を向けられます。
全音ずつ上げると、同じ範囲を少ない回数で通れます。時間がないときに便利です。
キーと歌う音域は違う
開始キーと終了キーは、ドになる音です。実際に歌う音は、パターンの幅だけドより高く(ときには低く)なります。
- ドレミファソ – ドから上に 7 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は D5
- ドレミ – ドから上に 4 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は B4
- ドミソ – ドから上に 7 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は D5
- ドミソド – ドから上に 12 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は G5
- 1オクターブ – ドから上に 12 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は G5
- ソファミレド – ドから上に 7 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は D5
- 1オクターブ跳躍 – ドから上に 12 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は G5
- 1.5オクターブ変則跳躍 – ドから上に 19 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は D6
- スタッカートのドミソ – ドから上に 7 半音。C4〜G4 のキーで練習すると、一番高い音は D5
たとえばドレミファソを C4〜G4 のキーで練習すると、歌うのは C4 から D5 までです。Vocal Ladder では、開始キー・終了キーの下に歌う音域を表示します。
声種ごとの音域の目安
よく挙げられる、訓練を受けた声の音域です。資料によって 1〜2 音違い、声は一人ひとり違うので、あくまで出発点の目安にしてください。設定例は、ドレミファソが音域の上下の端から 3 半音内側に収まるようにしたものです。
| 声種 | よく挙げられる音域 | ドレミファソの設定例 | 歌う音域 |
|---|---|---|---|
| ソプラノ | C4–C6 | Eb4 → D5 | Eb4–A5 |
| メゾソプラノ | A3–A5 | C4 → B4 | C4–F#5 |
| アルト | F3–F5 | Ab3 → G4 | Ab3–D5 |
| テノール | C3–C5 | Eb3 → D4 | Eb3–A4 |
| バリトン | A2–A4 | C3 → B3 | C3–F#4 |
| バス | E2–E4 | G2 → F#3 | G2–C#4 |
C4 はピアノの真ん中のドです。音名は、ピアノが実際に鳴らす高さで書いています。
男声の楽譜は、実際より 1 オクターブ高く書くことがよくあります。Vocal Ladder は実際の高さで弾くので、楽譜の C4 を 1 オクターブ下で歌う場合は、開始キーを C3 にすると、ピアノも同じ高さで弾きます。
開始キーと終了キーの決め方
- 開始キーは、練習が楽に歌える高さにします。きれいに出せる一番低い音より少し上が目安です。
- 終了キーは、練習の一番高い音がまだ楽に出せる高さにします。キーの下の「歌う音域」を見て決めます。
- 少しずつ広げる。最後のキーが楽だったら、次は終了キーを半音上げます。
- 行って戻る。「開始まで戻る」をオンにすると、一番上まで行ったあと下りてきて、始めの高さで終わります。
のどを大切に
- 大きな跳躍の前に、小さく楽な練習(ドレミ、ドレミファソ)から始めます。
- 幅の広いパターンはテンポを遅くし、息継ぎが必要ならキーの間に休みを入れます。
- のどが痛いとき、声がかれてきたときはやめてください。続くときは、ボイストレーナーや医師に相談してください。
Vocal Ladder は伴奏を弾くだけで、歌声を聞いたり評価したりはしません。
参考資料
声種ごとの音域(英語):